アストロチューニングセラピー とは
「星の古え」と「星の科学」と「星の神秘」の融合が「人生の現象」としてはたらきかける。
それが、アストロチューニング(惑星音叉)セラピーです。
古代ギリシアの数学者・哲学者のピタゴラスは、音楽を「3つの種類」に分けて考えていたようです。
1つは楽器を使って演奏する「器楽の音楽」、2つ目は人間の器官や細胞が調和して共鳴しあって発している「人間の音楽」、そして最後が宇宙そのもの、星々が発する「天球の音楽」です。

ピタゴラスは、太陽からの距離によって割り出した各惑星の速度の比率が、調和のとれた音程の比率と同じであることを発見し、それを七弦琴にたとえ、「天球の音楽」と称しました。
ピタゴラスは音楽をきっかけに、「この宇宙のすべては数字による調和と秩序によって成り立っており、宇宙が音楽を奏で、それがこの世の調和をもたしている。音楽は自然の理である」という考えを持っていました。
このようなピタゴラスの宇宙と音楽に関する概念は、古代ギリシアの三大哲学者の一人であるプラトンの哲学に受け継がれ、プラトンは「音楽は宇宙の調和だけではなく、人間に調和を与え、魂が救済される」として、音楽は宇宙の謎を解くうえで価値のある学問であると考え、プラトンの設立した学園アカデメイアでは、音楽をカリキュラムに積極的に取り入れていました。

また、プラトンは宇宙周期説(プラトン年)を最初に唱え、さらに「ティマイオス」と「エピノミス」において「星は生命体(意識)である」という考えを提起しました。この考え方は、プラトンらしいイデア論といえます。
そして、ピタゴラスの概念は中世の天文学者ヨハネス・ケプラーに受け継がれ、ケプラーは「宇宙の神秘」において、5つのピタゴラス的立体(プラトン立体)を元に宇宙論を構築し、さらに惑星の動きには音楽的な調和があるとし、「宇宙の調和」で、各惑星軌道の間隔に潜む秩序について、幾何学のみならず音階などを用いて考察を加えました。
そしてケプラーは、惑星間の距離の比や、近日点と遠日点における速度比に着目し、そこから導き出した惑星の音程を基に、惑星の音楽を説明しました。
ケプラーは、数が宇宙の秩序の中心であるとする点や天体音楽論を唱える点で、自然哲学におけるピタゴラス的伝統の忠実な擁護者であり、それまでの円運動に基づく天体論から、楕円運動を基本とする天体論を唱え、近世自然哲学を刷新しました。また、ケプラーは天文学者と占星術師を兼ねた最後の一人でもありました。

現代天文学の礎となったケプラーの法則によって科学的な惑星軌道周期が明らかになり、近代の数学者であり音楽学者であるハンス・クストのコズミックオクターブの公式によって惑星軌道周期が可聴音に置き換えられました。これにより、ピタゴラスの天球の音楽が、今この時代の「惑星音叉」というかたちとなって、ここに誕生しているといえます。
さらに、古代中国の自然哲学である陰陽五行説や伝統中医学の経絡理論、またタオの教義、哲学、宇宙論である小周天(人体における天体軌道)や星々から受け継がれた源の氣(気)であるその他の奇経八脈、そして古来から伝わる占星術の叡智によって、実際的かつパーソナルな天球の音楽のチューニングが可能となっています。

アストロチューニングセラピーの実践
錬金術師の祖とされるヘルメス・トリスメギストスは、古代エジプトに起源を発する神秘的な知識「錬金術」の基礎となる文章「エメラルド・タブレット」において、「大宇宙と小宇宙(人)の照応」ーー“As above, So below”ーー を説き、宇宙と私たちの相互関係を教えてくれています。
たとえば、星々と人体との関係のような比較的科学的な取り組みはバビロニアの時代から部分的にも見られましたが、高度な科学を持っていたカルデア人たちは医師でもあり、医療実践の中で占星術を併用していたといわれています。
ヘルメス・トリスメギストスの「ヘルメス文書」にも医学の部門があり、いくつかの文明において権威であった古代ローマの学者プトレマイオスは、「エジプト人は、医療と天文学的な予測を完全に結びつけていた」と主張しています。

西洋医学の祖と言われ、医療占星術の生みの親とも言われるヒポクラテスは、「占星術の知識のない医師は、自身を医師と名乗る資格はない」ーー“A physician without a knowledge of Astrology has no right to call himself a physician .” ーーとまでの格言を残し、「医学は自然環境における体の働きの理解であるべきだ」と説きました。
ヘレニズム時代以降、占星術の適用範囲は自然哲学や、いわゆる現代科学と位置づけられるもののすべてに広がり、その分野は解剖学、医学、植物学、錬金術としての化学、動物学、鉱物学などの広範囲に及びました。
西洋占星術の12サイン対応として四大元素(4エレメント)がありますが、その四大元素説を唱えた医者でありギリシアの自然哲学者エンペドクレスは「すべての生命は四大元素から派生する」と述べ、これが後の四体液説(体液病理説)に発展し、18世紀に病理解剖学が誕生するまでは、四体液説が西洋の臨床医学の主流の考え方でした。
ヒポクラテスは「宇宙を支配するのと同じ自然法則が個人を支配している」と述べましたが、これは生まれた瞬間のホロスコープチャートが個人の特徴を表していることと同じだといえるでしょう。
ヒポクラテスの教えはローマに多大なる影響を及ぼし、ローマの医師であるクリナスは「占星暦による星の運行に従い、患者を治療していた」と述べられています。
ヨーロッパの医療に1,000年以上にわたり影響を及ぼし、解剖学など現代西洋医学の実践的な根幹を成しているといってもよいガレノスも「宇宙と人間はそっくりで、何らかの変化が病気をもたらす」と信じていました。ガレノスはヒポクラテスの医学をはるばるルネサンスにまで伝えました。

12世紀から17世紀頃まで、占星術は重要な知的探究の一環であり、多くの医学文献と関連していました。例えば、ハーバリストたちは薬草の効果を支配星によって選択していたりしたのです。医療の実践と占星術はしばしば関連があり、当時の薬剤師は占星術師であるか、錬金術師だったのです。

人体図と占星術のシンボル-15世紀
ケプラーの「宇宙の調和」は、数学者による最上の歌と評される傑作で、宇宙に隠された神秘を解き明かすものとされています。そこでは、幾何学・音楽・占星術・天文学・神学が融合し、あらゆる系統の科学、音楽、認識論を統合しようとするプラトン以降初の実践的な取り組みだったといわれます。
ケプラーは「宇宙がパターンを決定し、そのパターンの範疇で人は自由である」という見解を述べました。これは、ホロスコープの幾何学パターン(アスペクト)が個人の行動パターンや癖の傾向を示していることに似ており、そこに反映されるパターンに従って人は無意識的に動いていることがよくあります。
さらに、天文学上の金星の公転周期と地球の公転周期の8年サイクルの会合周期によって、5つの会合ポイント同士で結ばれる幾何学的パターンが美しい五芒星を描くことでよく知られています。この五芒星に表される正五角形は黄金比率を示しており、この比率は花の五弁の花びらや、絵画、建築に多く見られ、人間が美しい、落ち着くと感じる比率とされています。

実は、自然界のあちこちにこの黄金比率のパターンを見ることができ、水分子、植物、巻貝、DNA、人体構造などにも現れるパターンなのです。
ドイツの科学者クラドニは砂に音を響かせ、砂が幾何学模様を描くことで、音(周波数)が物体のパターンを形作ることを証明しました。スイスの科学者ハンス・イエニーは、金属板上の液体や固体などにさまざまな周波数の音を響かせ、それらが形を作り、形の成り立ちには周期性が与えられることを証明しました。

今や人間の各器官や組織にも固有の振動数、周波数があると考えられています。
音(周波数)= 振動
振動 = 動き
動き = 一定のパターンの形成
一定のパターンの形成 = 地上生命の営みが生まれる
音(振動)は、私たちの心臓が鼓動するように、地上生命の営みを生み出しているといえるでしょう。
現在、天を運行している惑星の位置や、個人の生まれた時の惑星の位置になぞらえて、天文学的な惑星の軌道周期を音にした惑星音叉を人体に響かせるという手法は、古来の占星医療の潮流と現代科学の融合的なアプローチといえます。
超自然的な生命体として私たち人間を見つめ、常に変化する宇宙の在り方とバランスし調和しながら、宇宙の一部である人間存在としてより全体観的なセラピーを実践する新しい方法、それがアストロチューニングセラピーです。
「信じる/信じない」を飛び越えて、私たちの中にもあるといわれる宇宙の星々と照応する天球の音楽が、目の前の現実の現象、実体験、人生の変化、また人体事象として形となって現れる。ピタゴラスの天球の音楽は、見える世界でしか語ることができない後追い科学ではなく、この現代の「惑星音叉」の実際的に現れる現象によって証明されるといってもよいでしょう。
私は、この伝統的占星医療の潮流と現代科学の融合的なアプローチによる人間存在への惑星音叉の実践カテゴリーを、「アストロチューニングセラピー」と名付けています。

※アストロチューニングセラピーは医療行為ではありません。